青みかんとは、収穫する実を大きく育てるために行われる「摘果」という作業で摘み取られた、温州みかんの成長過程にある若い果実を指します。通常よりもかなり早い7月頃に収穫され、ゴルフボールほどの大きさで、深い緑色をしています。特有の爽やかな香りと強い酸味が特徴です。以前は市場に出回ることがほとんどありませんでしたが、近年の研究により、その高い栄養価や、SDGsの観点からの活用が注目され、関心が高まっています。
青みかんの特徴は、まさに「天然の健康食品」とも言われるほどの高い栄養価にあります。小粒ながらクエン酸やビタミンCが豊富に含まれており、疲労回復や血流改善、美容効果が期待できます。中でも、果皮に含まれるフラバノン配糖体の一種であるヘスペリジン・ナリルチンは、その多様な効果から、健康維持や生活習慣病の予防だけでなく、美容にも効果を発揮する成分として注目されています。
ヘスペリジンは、主に柑橘類の果皮に含まれるフラバノン配糖体の一種です。柑橘類の中でも特にみかんの皮や内果皮、白い筋に多く含まれています。水に溶けにくい性質がありますが「糖転移ヘスペリジン」に加工することで吸収性が高まります。
日研フード株式会社では、青みかんからエキス抽出をした未熟温州みかんエキスを用い、目鼻アレルギーに対するヒト試験を実施した。その結果、鼻の不快感軽減につながる項目で有意な差を確認し、アレルギー領域に対する有効性を確認した。日研フード株式会社では青みかんの研究を進め、機能性食品や化粧品向けの活用を広げていく。
青みかんの利用方法や活用法はさまざまです。ヘスペリジンなどの栄養素を最大限に摂取するためには、生で食べたり食事に添えたり、果汁を酢と混ぜて味付けや薬味として利用すると良いでしょう。特に青みかんの皮にはヘスペリジンが豊富なため、皮も利用すると効果が高まります。他にも、ジャムや乾燥させた青みかんの皮を「陳皮」にしてお茶として飲むのもおすすめです。青みかんはその独特の風味と栄養価から、さまざまな形で活用できます。
和歌山県は温州みかんの生産量が日本一で青みかんの収穫も盛んです。次いで愛媛県、静岡県が生産量が多い地域です。青みかんはこれまで、摘果したらほとんど価値がないものとして廃棄されていました。しかし、2004年頃から近畿大学薬学部が青みかんの研究を開始し、ヘスペリジンやナリルチンなどの機能性成分が豊富に含まれていることを発見しました。この研究成果をきっかけに青みかんの注目度が高まり、食用としての利用や健康食品・化粧品の成分として幅広く利用されています。
農林水産省,2023年5月17日,「令和4年産みかんの結果樹面積、収穫量及び出荷量」,農林水産省,
(2024年10月7日取得,https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/sakkyou_kajyu/mikan/r4/).
青みかんの市場やトレンドは、近年SDGsの観点からも関心が高まり、ますます注目されています。従来、廃棄されていた青みかんの有効活用で、フードロスの解消や健康食品への利用、加工品への転用、粉末に加工するなど利用される場面が増えています。他にも、青みかんの活用でみかん農家の収入源や雇用機会の創出にも繋がっています。青みかんは従来の廃棄物から価値ある資源へと転換され、地域活性化や持続可能な農業に貢献する可能性を秘めた商品として年々注目されています。
機能性食品としての注目
青みかんは、未成熟な段階での収穫で特有の成分を多く含み、健康食品市場で注目されています。青みかんに含まれる「ヘスペリジン」や「ナリルチン」といったフラボノイドには抗酸化作用や血流改善効果が期待されており、サプリメントや健康飲料の原料として利用が拡大しています。特に、免疫力の強化や抗ストレス作用が注目される現在のトレンドにマッチしているため、健康志向の高まりとともに需要も増加しています。
機能性食品としての注目
青みかんに含まれるビタミンCやクエン酸は、美容効果が高く、特に抗酸化作用や美白効果が期待されています。青みかんエキスを使用したスキンケア製品や美容ドリンクは、美容に関心の高い人々から注目されています。さらに、ビタミンCの豊富さから、紫外線対策やシミ予防を目的とした商品開発も進んでおり、自然派コスメやオーガニック商品の需要も増えています。
株式会社近大アクアファーム,「機能性成分を含んだオリジナル商品」,近大アクアファーム,
(2024年10月7日取得,https://a-pharma-kindai.co.jp/product/kinousei/).